勇者ミーコの冒険 #31(2017/05/01)

ミーコはぎんゆう詩人チャッピーともめていた。

ミーコ「お金がかかるなんてきいてないわ!」



ぎんゆう詩人チャッピー「だってぼくは職業的ぎんゆう詩人だよ。せいとうなほうしゅうをもらうのはとうぜんだよ」



ミーコ「詩人ていうか、とうぞくにちかくない?」

ぎチャ「めぐまれないネコに愛の手を! ぼくも含め」

ミーコ「しょうがないな。いくらなの」しぶしぶ

ぎチャ「10ニャンです」

ミーコ「安っ!」

ぎチャ「まいどありー」

ミーコ「安いけど、なっとくいかないわ。気分をがいしたわ」

ぎチャ「そんなアナタに耳よりじょうほうー! この先のお城でちかぢかおおきなイベントがひらかれるよ」

ミーコ「お城?」

ルンタ「イベント?」

ぎチャ「げんざい、国のないがいからネコたちがあつまってきています」

ミーコ「それってなにかいいことあるの?」

ぎチャ「めったに食べられない、おいしいものがでるという話だよ」

ミーコ「ルンちゃん行こう!」

ルンタ「そうね!」

ぎチャ「ではぼくはこれで! ごきげんよう」

ルンタ「はーい」

ミーコ「バイバーイ!」

わくわくしながらお城へと向かうミーコとルンタ。つづく。
勇者ミーコの冒険 #32(2017/05/02)

ミーコとルンタはにぎやかな通りを歩いていた。

ミーコ「ここは大きな町だねー」



ルンタ「ネコもいっぱいね」



呼び込みチャッピー「ハーイみなさーん。今日はお城で一大イベントがおこなわれるよー」



ミーコ「あれ、故郷のチャッピーによく似たネコが呼び込みをやってるわ」

呼チャ「やあこれは、かわいらしいお嬢さんがた」

ミーコ「まあ。かわいらしいとは、ミンミンたちのことね!」



呼チャ「いかがです、お城のイベントにきませんか?」

ルンタ「イベントって?」

呼チャ「今日は国じゅうの女性たちをあつめて、とくべつなパーティーがもよおされるんです」

ミーコ「パーティ? おいしいものがでるの?」

呼チャ「参加者ぜんいんに、かにかま入りチーズフォンデュがふるまわれます」

ミーコ「ルンちゃん行こう!」

ルンタ「そうね!」

呼チャ「ハイおふたりさま、ごあんなーい」

ミーコ「うわあ、これがお城? すごいねー」

ルンタ「ルンちゃんもこういうの、絵本でしかみたことないわ!」

呼チャ「それでですね、食事会のあとはみなさんに、ある靴をはいてもらいます」

ミーコ「くつ? ミーコくつなんてはいたことないよ」

ルンタ「わたしもー」

呼チャ「それでもし靴がピッタリだったらですね、さらに大きなサプライズがまちうけています!」

ミーコ「え?」

呼チャ「おっとここだ。では時間まで、このへやでおまちくださーい」

ミーコ「サプライズってなんだろう」

ルンタ「ルンちゃんこれしってるわ。本でよんだもの」

ミーコ「えーなに?」

ルンタ「靴がピッタリだった女の子は、王子さまとけっこんするのよ」

ミーコ「えっほんと!?」

ルンタ「それでかぼちゃの馬車でしんこん旅行に行くのよ」

呼チャ「ハイみなさんお時間でーす。こちらへどうそー」

いよいよお城のパーティが始まる。つづく。
勇者ミーコの冒険 #33(2017/05/03)

ミーコとルンタは、ほかのネコたちとともに大広間にとおされた。

ミーコ「うわーひろーい」



ルンタ「きれいなおへやねー」



ミーコ「チーズフォンデュも楽しみねー」

呼び込みチャッピー「お食事の前に、まずは王さまのお言葉です」



ルンタ「王さま?」

呼チャ「おふたりは旅のかたですよね。ここの王さまはマボリッチ王というんです。この国に平和とあんていをもたらしているすばらしい王さまですよ」

マボリッチ王がおつきの従者とともにあらわれた。



ミーコ「あれがマボリッチ王? あたしの故郷のマーボ王にそっくりだわ!」

呼チャ「マボリッチ王はマボリッチ王ですよ」

ミーコ「でもそっくりすぎるわ! ほんとはマーボ王じゃないの?」

呼チャ「ミーコさんあなたは、ある白猫と、別の白猫を、見分けることができるとでも言うんですか?」

ミーコ「! そ、それは」

呼チャ「ですよねー。ぶっちゃけぼくもムリですよ」

ミーコ「そ、そう」

呼チャ「いまの王さまの在位は100年つづいているんです。ここだけの話、とちゅうで何回か入れ替わってるんじゃないかっていううわさですよ」

ルンタ「それでもんだいないの?」

呼チャ「マボリッチ王はマボリッチ王ですからね。あ、はじまりますよ」


従者「はい。みなさんおしずかにー」

一同「(しーん)」

従者「マボリッチ王のお言葉です!」

マボリッチ王「…」



一同「(しーん)」

従者「はい。マボリッチ王のありがたいお言葉でした!」

一同「わーい。マボリッチ王、ばんざーい!」

一同「ばんざーい!」

呼チャ「いやあ。マボリッチ王のありがたいお言葉でしたね」

ミーコ「え、なにも言ってなくなかった?」

呼チャ「清らかなこころの持ち主にはマボリッチ王のこころの声がとどくんですよ。それはそうと、食事のよういができたようですね」

ミーコ「やったー!」

ルンタ「楽しみねー」

ミーコとルンタの待ちに待った食事会がはじまった。つづく。
勇者ミーコの冒険 #34(2017/05/04)

楽しい食事会もおわり、おなかいっぱいのミーコとルンタ。

ミーコ「おいしかったねー」



ルンタ「来たかいがあったわあ」



呼び込みチャッピー「さあみなさん、次はこちらの会場へどうぞー」



ミーコ「ミンミン、正直くつはどうでもいいよ」

ルンタ「でもここで逃げるわけにもいかないわね」

呼チャ「じゅんばんにこの靴をはいていただきまーす」

呼チャ「ハイ最初のかた、どうぞー」

呼チャ「あいませんねー。ハイ次のかた、どうぞー」

呼チャ「あいませんねー。ハイ次のかた、どうぞー」

ルンタ「なかなかあわないようね」

ミーコ「くつとか、はくネコの気がしれないよ!」

そして最後にいよいよミーコとルンタの番がきた!

ミーコ「ここに足を入れるの?」ぐりぐり

呼チャ「うーん。ミーコさんにもムリみたいですね…」

ミーコ「むっ。ミンミンにできないことなんてないわ! それっ!」

バリン!

ルンタ「あー、われちゃった…」

呼チャ「ミーコさんはらんぼうですね。あとでべんしょうしてもらいますよ。替えの靴、よういー」

呼チャ「では次。ルンタさんどうぞー」

ルンタ「はーい」スポッ

ルンタ「えっ!」



ミーコ「はけちゃった!?」



なんと、靴はルンタにピッタリだった。つづく。
勇者ミーコの冒険 #35(2017/05/05)

靴をはいてしまったルンタ。

呼び込みチャッピー「ルンタさんみごとです! やはりぼくの見込んだとおり!」



ミーコ「えっそれってどうなるの」



呼チャ「さあルンタさんこちらへ!」

ルンタ「え」



呼チャ「おあつまりのみなさーん。ほんじつ、ルンタさんがめでたくシンデレラ・ガールにえらばれました!」

一同「わーい。パチパチパチ!」

ルンタ「いやいや。ルンちゃんおよめになんか行きたくない!」

呼チャ「およめって何のことです。ルンタさんは、きゅうていおかかえのおどりこグループ、通称シンデレラ・ガールズのメンバーにえらばれたんですよ!」

ルンタ「!?」

ミーコ「なにそれ!」

呼チャ「うたっておどれるアイドルグループです。ぼくはそのスカウト兼プロデューサーだよ」

ルンタ「それはつまり、職業的おどりこになるということなの?」

呼チャ「そうです。女の子たちあこがれの職業ですよ」

ミーコ「ちょっと! ルンちゃんはミーコと旅をしてるのよ。そんなものには入らないわよ!」

呼チャ「シンデレラ・ガールズのメンバーになるというのは、たいへんなめいよなんですよ」

ルンタ「…」

ミーコ「入らないよねー、ルンちゃん」

ルンタ「ミーコちゃん、じつは、おどりこになるというのは、ルンちゃんの昔からの夢だったのよ」

ミーコ「!」

なんと、ルンタはおどりこ志望だった。どうなる。つづく。
勇者ミーコの冒険 #36(2017/05/08)

呼び込みチャッピーにスカウトされたルンタ。

ルンタ「おどりこになるというのは、ルンちゃんの昔からの夢だったのよ」

ミーコ「!」

ルンタ「ずいぶん練習もしたのよ。ほら」



ミーコ「わあ…」

ルンタ「シンデレラ・ガールズに入ればその夢がかなうかもしれないわ」

ミーコ「…」

ミーコ「…そっかぁ。ルンちゃん、おどりこになりたかったのかぁ」



ルンタ「ミーコちゃん…」

ミーコ「うん! いいよ! チャンスだものね!」

ルンタ「…」

ミーコ「ミンミンは平気だし! ルンちゃんもがんばって!」

ルンタ「ありがとうミーコちゃん」

呼び込みチャッピー「きまったようですね。ではルンタさん、こちらへ。明日からさっそく、ぎんゆう詩人作詞作曲の新曲『ネコ灰だらけ』のレッスンです! ミーコさんも今日はここの宿屋でゆっくり休んでいってください」



ミーコ「ハーイ」

ルンタ「ミーコちゃん、元気でね!」

ミーコ「うん。バイバーイ!」

おどりこの道を選んだルンタ。ミーコの旅はどうなるのか。つづく。
勇者ミーコの冒険 #37(2017/05/09)

ミーコはお城を出て一人で歩いていた。

ミーコ「ミーコひとりか…。ひとりでだいじょうぶかな…」

ミーコ「だいじょうぶなはずよ! だってミーコはつよいネコだもん!」

ミーコ「…」

ミーコ「…」とぼとぼ

* * *ミーコちゃーん

ミーコ「?」

ルンタ「ミーコちゃーん」

ミーコ「!」

ルンタ「ハアハア。よかった。まにあったわ!」

ミーコ「どうしたの?! ルンちゃん」



ルンタ「あのね、おどりこはね、まいにち朝6時におきてレッスンなんですって。それで、食事もぜんぶダイエットフードなんですって。ムリムリ。ルンちゃんそんなのたえられないわ!」

ミーコ「!」

ルンタ「それで、おひまをもらってでてきたのよ」



ミーコ「そっかあ!」

ルンタ「旅をしていれば、またチャンスがあるかもしれないし」

ミーコ「そうだよね!」

ルンタ「だから、ルンちゃんまたミーコちゃんといっしょに旅をすることにしたわ」

ミーコ「うん! またいろいろおいしいものさがそうね!」

ルンタが戻ってきた! 喜ぶミーコ。つづく。
勇者ミーコの冒険 #38(2017/05/10)

ミーコとルンタはおしゃべりをしながら歩いていた。

ミーコ「それにしてもマボリッチ王はほんとにマーボ王に似てたなあ。故郷のマーボ王はいまごろどうしているかしら」



ルンタ「ミーコちゃんは故郷をはなれてさみしくないの」



ミーコ「うーん? そうでもないかな。だって故郷のチャッピーにはしょっちゅう会ってるような気がするし、あといま気づいたけど、ルンちゃんも故郷のルナ姉さんに似ているよ!」

ルンタ「まあ」

ミーコ「そっくりかも!」

ルンタ「不思議なこともあるものねー」

ミーコ「考えてみると、なんか変かな?」

ルンタ「そんなことよりミーコちゃん。ルンちゃんここにきて、またじゅもんを1つおぼえたわ!」

ミーコ「えっどういうの?!」

ルンタ「ぬむー、っていうのよ」

ミーコ「それはどういう魔法なの!」

ルンタ「ルンちゃんがぬむーっていうじゅもんをとなえると、みんながとつぜん虚無感におそわれてぼうぜんとするのよ」





ミーコ「???」

ミーコ「なになにー? いまなにかおこったの?!」

ルンタ「あ、ミーコちゃんは勇者だから、虚無感とはむえんね。この魔法はミーコちゃんにはかからないわ」

ミーコ「そっかぁ。かくにんできなくてざんねんだね!」

ルンタ「でもこれはつかえるわよ! ルンちゃんがぬむーって言ったら相手がぼうぜんとしてスキができるから、ミーコちゃんはそこをねらって相手をたたくのよ!」

ミーコ「うん! ミンミンたたくのは得意よ!」

ルンタ「その調子ね!」

ミーコとルンタの旅はつづく。
勇者ミーコの冒険 #39(2017/05/11)

ミーコとルンタは旅をつづけていた。

ルンタ「これからどこに行くの? ミーコちゃん」



ミーコ「うーん。最近どうも、いいマップが手に入らなくて。おいしいものがどこにあるかわかんないの」



ルンタ「それはこまったわね」

ミーコ「しょうがないから、いよいよまかいをめざそうと思うんだけど」

ルンタ「そうそう。ミーコちゃんにはもくてきがあったわね」

ミーコ「でも考えてみたらミーコ、まかいもどこにあるかわかんないよ」

ルンタ「そうねえ。ルンちゃんもしらないわ」

ミーコ「こまったねー」

ルンタ「どうしましょう」

ぎんゆう詩人?チャッピー「おやおや。お嬢さんがた、なにかおこまりですか?」



ミーコ「あれ、アンタは故郷のチャッピーによく似た、いつかのぎんゆう詩人? あんまり会いたくなかったネコだわ」

?チャ「おや、兄にお会いになったんですか」

ルンタ「詩人さんじゃないの?」

?チャ「ぎんゆう詩人は兄です」

ミーコ「詩人の弟ネコ?」

ぎんゆう詩人の弟を名乗るネコがあらわれた。つづく。
勇者ミーコの冒険 #40(2017/05/12)

ミーコとルンタが出会ったネコは、ぎんゆう詩人の弟を名乗った。

ミーコ「弟? ぎんゆう詩人そっくりじゃない」



ぎんゆう詩人?チャッピー改め弟チャッピー「よくみてください。ちがうでしょ」



ルンタ「葉っぱが3つ?」



弟チャ「そうです。少ない資金を2倍、3倍にふやすのがぼくの仕事。ぼくは兄の仕事の資金うんよう部門を担当しているよ」

ミーコ「詩人の仕事に部署があるとはおどろきだわ」

弟チャ「こうみえてなかなかの事業規模なんですよ。それはそうと、君たちなにかおこまりの様子でしたよね。よければぼくがいろいろおしえてさしあげましょう」

ミーコ「とか言って、あとで代金をせいきゅうするんじゃないかしら」

弟チャ「ぼくのじょうほうは貴重だから本来なら2000ニャンはいただきたいところですが、いまマボリッチ王の経済政策マボノミクスのおかげで資金うんようが絶好調。気分がいいからとくべつに、3つまでの質問にタダでおこたえするよ」

ミーコ「えっそれってラッキーなの」

弟チャ「とてもラッキーです。この機会をおみのがしなく!」

ミーコ「そう!? じゃあ、えーと」

ルンタ「えーと」

ミーコ「そうだ! このへんにおいしいもの売ってるお店ない?」

弟チャ「ほう、おいしいもの」

ミーコ「うん」

弟チャ「おいしいもの、とみなさん簡単におっしゃいますが、味覚というのはこべつの感覚。ぼくにとっておいしいものが、あなたにとってもおいしいとはかぎらない。そのような不確定要素をふくんだ質問にはざんねんながらおこたえできません!」

ミーコ「なにそれ!」



弟チャ「つぎのご質問は?」

ミーコ「えっ。どうしよう」

ルンタ「えーと、じゃあ、おいしいもの売ってるお店をしってるネコいない?」

弟チャ「おいしいものの所在をしっているネコ。それはぼく。しかしぼくにとっておいしいものが、あなたにとってもおいしいとはかぎらない。そして話は1つめの質問にもどる。以上!」

ミーコ「えーっ!」

ルンタ「そんなぁ」



弟チャ「さあ、のこる質問は1つです!」

ミーコ「なんでそうなるの!」

当惑するミーコ。つづく。


↑top     next→