勇者ミーコの冒険 #71(2017/07/19)

トーキョー・ニャオニャオの前夜祭。

組織委員長チャッピー「はい。やきとり、やきざかなはこちらだよー」



委員1「フライドチキンもあるよー」

委員2「みんなすきなだけ食べてね!」

ミーコ「どれもこれもおいしいわ!」



ルンタ「ほんとねー」



しゅるるる〜 パーン! パンパンパン!

ミーコ「花火がまたあがったよ!」

ルンタ「みんな、ルンちゃんといっしょにおどりましょー!」

一同「わーい! おどろう!」

  マイム マイム マイム マイム
  マイムベッサッソ!

ミーコ「マイマイマーイ」

組チャ「もりあがってますね」

ミーコ「うん、楽しいよ!」

ルンタ「すてきなおまつりね!」

組チャ「これもミーコさんたちのおかげです!」

ミーコ「えへへー。まあね!」



ルンタ「これがトーキョー・ニャオニャオなのね」

組チャ「いやいやこれはほんの前夜祭です。ほんとうのおまつりは明日からです」

ミーコ「えっ、じゃあもっとすごいごちそうが出るの?」

組チャ「いえ、そういうんじゃなくて、ネコたちが走ったり、ボールをころがしたりします」

ミーコ「なにそれ!」

組チャ「おたがいにうんどう能力をきそいあうんですよ。そうだ、おふたりも出場しませんか? マラソンなんてどうです? 実はこれ、エントリーしてるネコがいないんです。出れば1位と2位、まちがいなしですよ」

ミーコ「それってなにするの?」

組チャ「走るんです。ひたすら走ります」

ルンタ「どのくらい?」

組チャ「えーと、距離にしてこのトラックを、だいだい100しゅうくらいかな」

ミーコ「えーっ! ムリムリムリ!」

ルンタ「ムリムリムリ!」

組チャ「それはざんねんです。種目によってどうしても、参加ネコ数がかたよっちゃうんですよね。パン食い競走は予選だけで100くみもあるのに」

ミーコ「ミーコ体力つかうことはにがてだわ。どっちかっていうと、ずのう派なのよ」

ルンタ「ルンちゃんもー」

組チャ「そうですか。まあ、気が向いたら観戦だけでもしていってください!」

ミーコ「ハーイ」

トーキョー・ニャオニャオの前夜祭の夜は盛況のうちにふけゆくのであった。つづく。
勇者ミーコの冒険 #72(2017/07/21)

前夜祭から一夜明けた朝。

ミーコ「うーん。きのうはちょっと食べすぎたかな!」



ルンタ「ルンちゃんはそのぶんおどったから平気だわー」



組織委員長チャッピー「おはようございます。大会のはじまりにふさわしい、いい朝ですね!」



ミーコ「うん!」

組チャ「ここで勇者ミーコさんに感謝の意をひょうめいするため」

ミーコ「ん!?」

組チャ「かんぶつやのご主人から勇者ミーコさんに、かつおぶし・うおごころパック1年ぶんがとどくはずなんですが…」

ミーコ「かつおぶし?! すごい高級品じゃない!」

ルンタ「すてき!」

組チャ「いまだ来ないんです。かんぶつやのご主人、大会がはじまって仕出しにてんてこまいなんですかね。まさかわすれてるわけじゃないと思うけど」

ミーコ「かんぶつやさんてどこにあるの?」

組チャ「出口から南にしばらく行ったところです」

ミーコ「ミーコ直接うけとりに行っていい? そんな高級品をのがすわけにはいかないわ!」

組チャ「えっ。それはぜんぜんかまいませんけど、なんかもうしわけないですね。こちらの不手際で」

ミーコ「いいのいいの! ミーコどうせ旅のとちゅうだし、どっちみちあちこち行くから」

組チャ「そうですか、ほんとうにすみません」

ルンタ「いいのよ」

組チャ「勇者ミーコさん、ルンさん、ほんとうにどうもありがとう!」

ミーコ「ハーイ。バイバーイ!」

ミーコとルンタはかんぶつ屋へとむかった。つづく。
勇者ミーコの冒険 #73(2017/07/25)

かんぶつ屋に着いたミーコとルンタ。

ミーコ「どうやらここのようね」



ルンタ「そうね」



かんぶつやチャッピー「ハイそれはそっちー。あれはあっちー」



ミーコ「こんにちはー」

かチャ「はい。あれ? あなたはもしや」

ミーコ「あたしは勇者ミーコよ。こちらはルンちゃん」

ルンタ「こんにちは」

かチャ「ええ、そのヘアバンドですぐわかりましたよ! おうわさはうかがってます。いやー、ぼくもこの目でみたかったなー、点火のしゅんかん! でも仕事がいそがしくて! ほんとにざんねん!」

ミーコ「うん。それでね」

かチャ「ギリギリのところでほんとうに勇者があらわれて火をつけてくれるなんて、すごい劇的な展開ですよね。ぼく話をきいただけでもうワクワクしちゃいました!」

ルンタ「ええ、あの」

かチャ「それでそう! ルンさんのおどりもとってもすばらしくて前夜祭がこのうえなくもりあがったんですってね。ああぼくもその場にいたかったなー! 楽しかっただろうなー! でも仕事がいそがしくて!」

ミーコ「そ」

かチャ「荷物をとどけに行ったネコたちがつぎつぎと話を持ち帰ってきましてね。みんなすっかりこうふんしてました。もううらやましくて! ぼくも行きたかったな! でも仕事をほうりだすわけにいかないし!」

ルンタ「っ」

かチャ「それで、かつおぶし・うおごころパックはうけとっていただけましたか? いや、ほんの気持ちなんですけどね、ほんの気持ち!」

ミーコ「み」

かチャ「でもじまんじゃないけど当社でいちばんの品質をほこる高級ないっぴんです! もうあじわっていただけましたか? え? まだ?」

ミーコ「それが」

かチャ「って、え? うけとってない?! あれ?」

なにか手違いでもあったのか。つづく。
勇者ミーコの冒険 #74(2017/07/26)

かつおぶしが届いていないと知り、驚くかんぶつやチャッピー。

かんぶつやチャッピー「勇者さまあての荷物がとどいていない?」



ミーコ「うん」



ルンタ「そうなの」



かチャ「いったい…。あっ!」



かチャ「なんでこれがまだここにあるの! こらっ、見習い!」

見習いチャッピー「ふわーい」



かチャ「ふわーい、じゃないでしょ! 朝までにとどけるようにって言ったでしょ!」

習チャ「えーだってこんなおおきい荷物、ぼく持てませんしー」

かチャ「持てませんしー、じゃない! できなきゃできないで、なにかやりようがあるでしょ! ぼくに言うとか、誰かにたのむとか」

習チャ「できないことを言いつけるのがいじわるじゃないですかー」

かチャ「もうっ。いいからあっち行ってなさい!」

習チャ「ぶー」

かチャ「いやほんとうにすみません。おみぐるしいところを…」

ミーコ「いえいえ」

かチャ「同じ柄のよしみでやとったのに、ほんと使えないんだから!」

ルンタ「たいへんね」

かチャ「これがかつおぶし・うおごころパック1年ぶんです。勇者さまじきじきに取りにきていただくかっこうになっちゃいましたね。ほんともうしわけない」

ミーコ「高級かつおぶしについにめぐりあえてうれしいわ」

ルンタ「でもたしかに持ち歩くにはおおきな荷物ね」

かチャ「よろしければ勇者さまのご自宅にはいそうしますよ」

ミーコ「まあ。じゃあ、ミーコの故郷のマーボ王におくってもらおうかしら」

かチャ「かしこまりましたー。今度はちゃんと手配します!」

ミーコ「よろしくー」

ルンタ「いそがしそうね。はいそうする荷物が山づみだわ」

ミーコ「ほんとだねー。って、あれ?」

ルンタ「え?」

ミーコ「みてルンちゃん、あのダンボール」



ルンタ「まかい商事…?」

ミーコ「これってもしや?!」

まかい商事とはいったい? つづく。
勇者ミーコの冒険 #75(2017/07/27)

ミーコがかんぶつ屋で見つけた荷物には、まかい商事行きと記されていた。

ルンタ「まかいって、つまり魔界かしら」



ミーコ「ね、あやしいよね!」



かんぶつやチャッピー「はいそうの手配ができました!」



ミーコ「かんぶつやさん、あそこの箱にある、まかい商事ってなに?」

かチャ「まかい商事ですか。月にいちど、にぼしの大袋をおとどけしているお得意さんです!」

ルンタ「どういう会社なのかしら」

かチャ「なぞにつつまれた会社です。代表取締役は『ま王』といいましてね。うわさでは、なんでも魔界の入口をまもっているのだとか」

ミーコ「!」

ルンタ「!」

かチャ「おっと納期がせまっている。はやく発送しないと! えーと、あいているスタッフは…」

ミーコ「よかったらミンミンたちがはこんであげようか?」

ルンタ「わたしたち、まかい商事に用があるのよ」

かチャ「えっ。そんなことおねがいしていいんですか?」

ミーコ「うん。ついでだもん」

ルンタ「でも場所がよくわからないの」

かチャ「とてもたすかります! 道は見習いにあんないさせます! みじゅくなやつですが、道あんないはできるでしょう。いやほんとすみません!」

ミーコ「ミーコにまかせてくれていいよ!」

かチャ「お礼と言ってはなんですが、旅のおともに当社じまんのかんぶつ7点セットをどうぞ! ほねせんべい、かつおぶしスティック、和牛のジャーキーなど、人気の品々のつめあわせです!」

ミーコ「まあ、ありがとう」

ルンタ「うれしいわね」

かチャ「見習いー! こっち来て! このかたがたをまかい商事にごあんないしなさい」

見習いチャッピー「ふわーい」



かチャ「もうっ。返事ははい! でしょ! 勇者ミーコさん、ルンさん、まかい商事は入り口のチェックがきびしいけど、かんぶつやだって言えば入れてくれますからね。見習い! くれぐれもしつれいのないようにね!」

習チャ「はーい」

まかい商事に行くことになったミーコとルンタ。果たしてまかい商事は魔界なのか。つづく。
勇者ミーコの冒険 #76(2017/07/28)

ミーコとルンタは見習いチャッピーの案内でまかい商事にむかっていた。

見習いチャッピー「はやくはやく! こっちだよー!」



ミーコ「ハアハア。ちょっと、そんなに走らないでよ!」



習チャ「えーだっておねえさん勇者でしょ!」

ミーコ「だからミーコはずのう派なんだってば。走るのはにがてなの!」

ルンタ「ルンちゃんもー」



習チャ「なんだあ。勇者ってたいしたことないんだね!」

ミーコ「まあっ、なまいきなチビネコね。かんぶつやさんの苦労がわかるわ」

習チャ「ぼくはあんなとこで下働きしてるようなネコじゃないんです! おおきくなったらほんものの勇者になるんだもん」

ミーコ「ハイハイ。わかったからいまはてきせつに道あんないしてよね」

ルンタ「もっとゆっくり歩いてー」

習チャ「しょうがないなあ」

ミーコ「もうっ。としうえにはちゃんと敬意をはらうのよ!」

習チャ「そういう考えかたはちがうと思います! ねんれいじゃなくて、能力をみるべきです!」

ミーコ「ハイハイ。じゃあボクにはどういう能力があるのかなー?」

習チャ「むっ。こどもあつかいしないでよ! ぼくにはいろんな能力があるんです! まだよくわかんないけど」

ミーコ「うんうん。あるかもしれないし、ないかもしれないねー」

習チャ「きっとあるよ! いまさがしてるところなんです」

ミーコ「うんうん。あるといいねー」

習チャ「…」

ミーコ「あら。どうしてたちどまるの?」

習チャ「つきました。あのたてものがそうです」

ミーコ「え、あれ?」

ルンタ「ごくふつうのたてものにみえるわね」

習チャ「あの、ぼくここまででいいですか」

ミーコ「えっなんで? いっしょに行って、このにぼし大袋をとどけようよ」

習チャ「でも…」

ルンタ「なにをモジモジしているの?」

習チャ「いえ、ちょっとあそこはぼく、イヤかも…。なんかブキミなんです。夜になるとたくさんの目が光ってるのがまどごしにみえるんだって」

ミーコ「それってよくある学校七不思議みたいなもんじゃないの? ミーコの故郷の村にもあったよ! 夜になると集合写真のネコたちが出てきて校庭を走りまわるの」

ルンタ「それにいまは昼よ」

習チャ「でっでも。あっぼくもうお店の仕事にもどらなきゃ! じゃあそ−ゆーことで!」ひゅーん

ルンタ「行っちゃった…」

ミーコ「学校七不思議がこわいなんて、なんだかんだ言ってまだまだこどもね!」

見習いチャッピーは逃げたが、どうやらまかい商事に着いたようだ。つづく。
勇者ミーコの冒険 #77(2017/07/31)

まかい商事にやってきたミーコとルンタ。

ミーコ「さてと。これが入り口のドアかな?」



ルンタ「何か書いてあるわ」



ミーコ「どれどれ」



ミーコ「これね」ピンポ〜ン♪

秘書(声)「どちらさま?」

ミーコ「かんぶつやでーす」

秘書(声)「あーはい。どうぞー」

ミーコ「どうもー」ガチャ

秘書「ごくろうさまでーす。荷物はつきあたりのへやにおねがいしまーす」

ミーコ「ハーイ」

ルンタ「すんなり入れたわね」

ミーコ「うん!」

ルンタ「つきあたりって…」

ミーコ「このへやかな? ちょっとのぞいてみよう」

ま王チャッピー「えーと。借り方はここに記載して、と」



ミーコ「あれがまおう?」

ルンタ「テーブルのうえの肩書き表示プレートに『ま王』って書いてあるから、魔王にちがいないわね」

ミーコ「まおうまでが故郷のチャッピーに似ているとは意外だったわ!」

ルンタ「みて、ミーコちゃん。魔王のうしろ」



ミーコ「まおうと、まかいのとびらがセットになってあらわれたわ!」

ルンタ「いよいよクライマックスね!」

ついに、ま王と対決か。つづく。
勇者ミーコの冒険 #78(2017/08/01)

ミーコとルンタはま王の部屋に入った。

ミーコ「どうもー」



ルンタ「こんにちはー」



ま王チャッピー「あれ?! どちらさま」



ミーコ「かんぶつやでーす。こちらのにぼし大袋をおとどけにあがりました!」

まチャ「あ、それはどうも。ごくろうさまです」

ミーコ「と、みせかけて…」

まチャ「!?」

ミーコ「あたしは勇者ミーコよ。まかいのとびらをあけてもらいに来たわ!」

まチャ「えっなんだって勇者!? もうっ。勇者と税務署はとおしちゃダメって、つねづね言ってあるのに、役立たずな秘書め!」

ミーコ「さあ、かくごを決めて、そこのとびらをあけてもらおうかしら!」

まチャ「いやだと言ったら?」

ミーコ「ミーコはずのう派になったから手荒なことはしたくないけど、どうしてもあけないと言うのならしかたない。このバールのふういんをとくことになるわよ」

ルンタ「まあ。それ封印されてたの?」

ミーコ「気分よ、気分! さあ、どうなの? まおう!」

まチャ「誰がなんと言おうとおことわりだ。このとびらをあけるわけにはいかない!」

ミーコ「そう、ざんねんね。ではじんじょうに勝負してもらうわよ!」

まチャ「ふん。このぼくが相手をするまでもない。さあ! 警備のネコたち、通称ネコム隊のみなさん、出番だよ!」

ミーコ「!?」

ルンタ「!?」

ネコム「われわれが相手だよ!!」ぞろぞろ

ネコム隊が現れた! どうするミーコ! つづく。
勇者ミーコの冒険 #79(2017/08/02)

ま王チャッピーはネコム隊を召集した。

ま王チャッピー「さあ、このしんにゅう者たちをつまみだすんだ!」



ネコム「はい!!」

ミーコ「!」



ルンタ「!」



ネコム「おとなしくおなわをちょうだいしてもらおうか!!」

ミーコ「数がおおすぎるわ! どうしよう」

ルンタ「ミーコちゃん、ここはわたしにまかせて」





 ぬむー

   ぬむー   ぬむー

ぬむー  ぬむー  ぬむー

    ぬむー

           ぬむー


※ルンタの呪文「ぬむー」は、「相手が突然虚無感におそわれて呆然とする」という効果をもつ。第38話を参照のこと

ミーコ「! すごい反響したわ!」

ルンタ「かべが、とても反響しやすいそざいなのね!」

ネコム「!!!」

ネコム「!!」

ネコム「!」

ネコム「…」

ネコ1「なんかとつぜん、いろいろどうでもいい気がしてきた」

ネコ2「なんかなー」

ネコ3「なー」

まチャ「どうした、おまえらー!」

ネコ4「オレら、なんで警備なんてしてるんだっけ?」

まチャ「やとわれてるからだろ!」

ネコ5「警備とか、ムダじゃね? ダメなときはなにやってもダメだし」

ネコ2「だよなー」

ネコ3「なー」

ネコ6「そもそも12時間きんむで、ほうしゅうがにぼし3本ってどうよ」

ネコ5「安すぎるよな」

ネコ4「むちゃくちゃ安い」

ネコ1「これって、あれじゃね? いまはやりのブラックじゃね?」

ネコ4「ソレダ!」

まチャ「12時間きんむったって、おまえらいつもずっと寝てるだろ!」

ネコ6「こうそく時間がながすぎるから、オレらけっこんできないんじゃね?」

ネコ5「オレもそう思う」

ネコ4「オレも」

ネコ3「オレも」

ネコ2「オレも」

ネコ1「オレも」

まチャ「そういうもんだいかー!」

ネコ1「やといぬしがああいう態度だと、やる気なくすよな。もろ」

ネコ2「まったくだなー」

ネコ3「なー」

ネコム「じゃそーゆーことでー」ぞろぞろ

まチャ「こらー!」

部屋を出ていくネコム隊。思わぬ展開にあせる、ま王チャッピー。つづく。
勇者ミーコの冒険 #80(2017/08/03)

ネコム隊は全員出ていってしまった。

ま王チャッピー「…」



ルンタ「(じゅもんがちょっとききすぎた?)」



ミーコ「(ミーコの出番がなかったね)」



まチャ「えーと」

ミーコ「…」

ルンタ「…」

まチャ「どうしましょうね」

ルンタ「そうねえ。とりあえず、しょくばの労働かんきょうをかいぜんするというのはどうかしら」

まチャ「でもですね、3食昼寝つきというか、むしろここでは、かいてきな寝場所をていきょうしているようなものなんです。しんにゅう者が来たのも今回がはじめてで…」

ルンタ「じゃあ、合コンを主催してあげるとか?」

まチャ「経営側がそこまでしますかね。それにじゅうぎょういんのプライベートにたちいるというのもどうなのか…」

ルンタ「せめてにぼしを5本にするとか」

まチャ「財源がものすごくかぎられているんです。3本だって、かつかつですよ」

ミーコ「うんうん。経営もたいへんだね! でもいまのもんだいはそういうことじゃなくて!」

まチャ「なんでしたっけ」

ルンタ「なんだっけ」

ミーコ「あのー。そこにある、まかいのとびらをあけてくれるかな?」

ルンタ「そうだった」

まチャ「え。だからそれはダメですって」

ミーコ「なんで!」

交渉は再び決裂の様相を見せた。つづく。
勇者ミーコの冒険 #81(2017/08/07)

何としてもとびらを開けようとしない、ま王チャッピー。

ミーコ「なんでダメなの! いいじゃない」



ま王チャッピー「ダメなものはダメです。ここをとおれるのは神様がきょかしたネコだけなんです!」



ルンタ「神様?」



ミーコ「まおうのくせに、神様につかえてるの?」

まチャ「そんな設定のアラはどうでもいいですよ。ていうか、ま王っていうのはそもそも『まるばつゲーム年間チャンピオン』の略なんですからね」

ルンタ「まるばつゲーム?」

まチャ「こういうやつです」



まチャ「このゲームは先攻をとるのがコツなんですよ。先攻をとれば負けません」

ミーコ「へえー」

まチャ「プレイヤーは先攻をとるか、にぼしをとるか、選べるんです」

ルンタ「まあ」

まチャ「ほとんどのネコがにぼしをとります。しかしぼくはにぼしをとりたい気持ちをぐっとこらえて…」

ミーコ「わお」

まチャ「くっ。そうやって、ものすごくがんばって手に入れた地位なんです。勇者と言えどあのとびらをあけるわけにはいかない。ぼくにはここをまもる義務があるんです!」

ミーコ「うーん。事情はわかったけど、こっちもマーボ王に言われたの。リーナ姫をつれもどさなきゃ」

まチャ「リーナ姫は、神様のきょかがおりたんです。あっちに行ったらもうもどってはこれないんですよ」

ミーコ「もどれない?」

ルンタ「そんな」

まチャ「むこうの様子を、のぞきまどからちょっとみるだけならできますよ。みてみますか?」

ミーコ「うん」



まチャ「あれはレインボー・ブリッジとよばれています」

ミーコ「わあ…」

ルンタ「きれいね…」

まチャ「あの橋はこちらからあちらへの一方通行です。行ったらもどれません」

ミーコ「…」

ミーコ「わかったわ」

まチャ「おわかりいただけましたか」

ミーコ「でも、マーボ王はミーコに期待してるのよ。ミーコが期待にそえなくて、マーボ王ががっかりしたらどうしよう」

マーボ王「その心配はないぞ、ミーコよ!」



ミーコ「!! マーボ王!?」

なんと、マーボ王が現れた! つづく。
勇者ミーコの冒険 #82(2017/08/08)

ミーコ、ルンタ、ま王チャッピーの前に、マーボ王が現れた。

ミーコ「マーボ王!」



マーボ王「そのような心配は無用だ。ミーコよ、おまえはよくやった!」



ミーコ「マーボ王、いったいどうやってここへ?」

マーボ王「ミーコよ。わしくらいになると、どこでも顔パスなのだ!」

ミーコ「ええ。でもなぜミーコがここにいるとわかったのです?」

マーボ王「ミーコよ。おどろくべきことだが、そなたの足どりは、同じ柄のネコたちが共有するハイパー通信網、チャッピーラインをつうじて、わしにも伝えられていたのだ!」

※チャッピーライン(イメージ)

※チャッピーラインは、白地に明るい茶のトビ柄を持つネコだけがグループ参加資格を有する特殊な通信網である。招待メッセージ(ミーコ)が届き、これを承認すると、当該ネコは正式にグループのメンバーとなり、グループ内での自由な通信を開始できる。通信キャリア、プロトコル、エンコード、その他の技術詳細は不明。テレパシーの一種ではないかと言われている。

マーボ王「これはわしにも意外であったぞ」

ま王チャッピー「あなたがマーボ王ですか。はじめまして」



ルンタ「はじめまして」



マーボ王「おお。おふたりとも、ミーコが世話になっておりますな」

まチャ「いえいえ」

ルンタ「こちらこそ」

マーボ王「あなたがルンタさんか。うちのルナはお手紙を拝読して、ルンルンは自分の生き別れた妹かもしれないと言っておったな」

ルンタ「まあ、やっぱり!」

ミーコ「じゃあ手紙はとどいたのね!」

マーボ王「うむ。ミーコよ、おまえの元気な様子がうかがえてうれしかったぞ! あと、かつおぶし・うおごころパックもちゃんととどいておる。村のネコたちはみな大喜びだ!」

ミーコ「時系列的な整合性にものすごくぎもんを感じるけど、よろこんでもらえてよかったわ!」

マーボ王「ミーコも出世したものだと、みな感心しきりである。わしもほこらしく思うぞ!」

ミーコ「はい!」

マーボ王にほめられ喜ぶミーコ。次回、いよいよ最終回!
勇者ミーコの冒険 #83(2017/08/11)

マーボ王、ミーコ、ルンタ、ま王チャッピーが一堂に会している。

マーボ王「そしてこれが、魔界のとびらか。ほんとうに見つけるとは、ミーコよ、でかしたぞ」



ミーコ「はい、でもあの、リーナ姫は…」



マーボ王「いいのだ、ミーコよ」

ミーコ「?」

マーボ王「姫のことはいいのだ。考えてみると、どこへ行ったのかがわかれば、それでよかったのかもしれぬ。これで、いずれときが来ても迷わずにすむであろう」

ミーコ「とき???」

マーボ王「ミーコよ、おまえはまだ若いからわからなくてもよいぞ! ともかく、場所がつきとめられればじゅうぶんだったのだ。わしにもようやくそれがのみこめた。わしはそのことをおまえに伝えるために、いそぎこの場に参上したのだ」

ミーコ「ではミーコはしめいをぶじ果たしたのですね!」

マーボ王「そのとおりだ、ミーコよ」

ミーコ「ではお約束のごほうびを! マーボ王!」

マーボ王「ミーコよ。おまえはこの旅をつうじてさまざまな経験をかさね、ひとまわりもふたまわりもおおきくなった。これは胴まわりのことを言っておるのではないぞ!」

ミーコ「ハイ!」

マーボ王「であるからして、成長した今のそなたは、そのようなほうびなどもはや必要としておらぬはずだ!」

ミーコ「なにかとってもいい言葉でごまかされたような気がしないでもないけど、たしかにそのとおりね。旅に出たおかげで、ふつうならけっしてめぐりあわなかったようなおいしい食べものを、たくさん食べることができたわ!」

マーボ王「ミーコよ、おいしいものを真摯に追い求めるそなたのそのあくなき探究心。わしはおおいに感銘をうけたぞよ!」

ミーコ「ハイ!」

マーボ王「おかげでわしもまだまだ現役でがんばれる気がしてきたぞ。ミーコよ、おまえは村をおさめるという重責をいますぐになう必要はない。とうめんは今のまま、自由をおうかし、好きなだけ旅をつづけるがよい」

ミーコ「わかりました、マーボ王! ミーコはこれからも世界を旅して、けんぶんをさらにひろめます。そしておいしいものをたくさん食べます!」

ルンタ「ルンちゃんもいっしょに行きます!」



ま王チャッピー「ぼくらもミーコさんを通じて、世界のことをいろいろ学ばせていただきます!」



マーボ王「ミーコよ、みながそなたを見守っておる。しめいを果たした今、そなたは目的を自分自身できめなくてはならん。しっかりがんばるのだぞ!」

ミーコ「ハイ、マーボ王。ミーコはがんばります! 勇者としてすべきことを、これからもできるかぎりやっていきます!」

まチャ「がんばってください、ミーコさん」

ミーコ「うん! よーし、またおいしいものをさがすわよ。行こうか、ルンちゃん!」

ルンタ「ええ!」



再び冒険が始まろうとしている。ミーコの前に広がるのは、果たしてどのような世界なのか。

------------ The End ------------

ご愛読ありがとうございました。


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